NO.17 ゆるさ
8月上旬のこと、東京へ4日間程出張する機会があり、1日だけフリーな時間を会社から頂きました。その貴重な時間を利用して東京の「建物再生事例」を見学することに。福岡に比べて東京はやはり都会。人口も多いし、当然建物が多い。もちろん古い建物もたくさんあります。古い建物の活用法が高度経済成長期を境に建物をどんどん建ててきた日本にとって今後の大きな課題の一つです。
R100プロジェクト第1弾、リノベーションの本質探しが行き詰まっている今、少しでも多くの事例、考え方や見せ方を、目で見て感じてくる必要がありました。正直なところなかなか動き出さない、出せない理由は「怖さ」と「責任」が時間が経つにつれてどんどん大きくなってきたからです。ここでいう「怖さ」と「責任」は必要とされているものをつくれるか、つくらなければならないという部分です。できなければ「ゴミ」をつくっていることと同じこと。つくらないほうがマシです。作り手として責任があります。その怖さもあります。じっくりと、しっかりと時間をかけて、考えて動かないといけないとも思います。 話は戻りますが、今回見学してきた物件をご紹介です。(写真抜粋)
①東雲キャナルコートCODAN
②旧四谷第五小学校(吉本興業新社屋)
③MUJI新宿
④名曲喫茶ライオン
⑤ヒルサイドテラス
⑥ハリウッドランチマーケット
⑦代官山タワー
⑧D&DEPARTMENT東京
⑨大岡山駅東急病院
⑩三井物産 本館
⑪表参道ヒルズ
あまり時間がなかったので、競歩選手のように早足で歩き回り、1件1件じっくりとはいかなかったものの、いいものを感じてきました。
特に印象に残ったこと。
①東雲キャナルコートCODAN ⑧D&DEPARTMENT東京。この2件は、いわゆる「カッコいい」わけです。「カッコいい」場所や建物、お店って普通「ガチガチに固めた感」があったりしますが、ガチガチ感がない、少し抜けている、隙間があるような気がしました。
例えば①東雲キャナルコートCODAN。いわゆるデザイナーズ集合住宅、団地。建物としては水平垂直のグリットを基本形として、6組の建築家達がそれぞれの特徴、持ち味を存分に発揮した素晴らしい集合住宅。行く前の、写真で見てた印象と実際に行った印象は違っていて、さすがURだなって。デザイナーズマンションのイメージって、カッコいいけど、生活感を排除した、洗濯物も干せそうにない堅苦しい感じがあると思いますが、ここは違うんです。UR的な素朴感がある。幼少時代、そして今URに住んでますが、その空気感が残っている。
⑧D&DEPARTMENT東京も、扱う商品、店づくり、建物、立地すべてにおいて共通して、カッコいいけどがんばりすぎてない感じ。決して頑張っていないわけではなく、計算された「ゆるさ」が心地いい。 音楽やグラフィック、モデルや俳優の世界もこの「ゆるさ」ありますよね。これって大事なんじゃないかと思ってはいましたが、なかなかそうする事、そう作ることは難しい。プロ中のプロの仕事を見せてもらいました。
この体験を生かせるよう、これから進めていきます。
㈱スペースRデザイン 北嵜
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