NO.20 解体②

NO.20 sukeruton

今回の解体工事では、半分計画的に、半分は即興の判断で行いました。
半分計画的に行った理由は、解体業者さんが段取りしやすくするためと、それによってある程度の金額を把握するためです。
逆に半分即興で行った理由は、壊してみないとわからないことがあるのと、何よりその現場/その時にしかわからない感覚的な何かを楽しむためです。
解体前の現場でいくら考えても、デスク上で考えても感じられない、その場の空気、室内や職人さんとのやりとりの中で
「ここは壊しましょ!!」「ここは残したいけどどうです?」「何のために残すんです?」「ここはこんな風になるといい感じじゃないですか?」
そうすることで、思いがけない発想がお互いから出てきたりして面白くなります。
職人さんたちも、言われるがままに解体するより一緒に作ってる、プランに参加するほうが楽しいはずです。
ただ注意したいのは、やはり時間どおり、段取り良く解体工事しなくてはならないので、その場で即決するのが前提。ああでもない、こうでもないと悩んでいる時間はかえってマイナスです。

↓先に解体した403号室の天井は、すべて撤去しました。コンクリート型枠の木目の跡が無機質なコンクリートに温かみと動きを与えてくれています。

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↓その後302号室の解体を行いました。403号室を解体するのを見ながら、この部屋は半分残して見るのも面白いかなと。天井を残す代わりに真ん中の柱は撤去できませんでした。外してしまうと天井の中央がだれてしまうからです。柱が部屋の中心にくるので、邪魔になるんじゃないかと少し考えましたが、これをうまく使えば部屋のアクセントになるんではないかと思い残すことにしました。

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これで解体工事は終了。リビングのみです。水廻りやダイニングはほとんど触っていません。実は水廻りを解体するかしないかが、今回のリノベーションの大きなポイントになっています。
理由は今度ゆっくりと御説明します。
9月25日からはいよいよ大工工事スタートです。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.19 解体①

no.19

始まりました。解体工事。長かったです、ここまで来るのに。
思い出します。小学生の頃、修学旅行を1、2週間も前から待ちわびて、そわそわして、とうとうその日の朝が来て、学校の校庭に集合したあの時みたいに。
ワクワクしています。バスの中でお腹がいたくなるかもしれない不安もありますが。

今回のプロジェクトの工事工程の中で一番と言っていい程重要なのが実は「解体」です。解体ってとりあえず壊せばいいんじゃないのって簡単に考えてやると、あとあと痛い目にあいます。
なぜかというと、簡単です。
予算がない。
基本的に壊したら、また新しいものをつくらなくてはならない。材料や工賃もかかりますし、ごみも多く出ます。ごみ撤去費用もばかにならないし、何より地球に良くない。極力壊さずに使い続けることが大切になります。

実は今回の企画、403号室の一室のみの予定でしたがもう一室追加されました。302号室。間取りや広さはほとんど同じです。こちらも100万円でリノベーション。せっかくなので、同じテイストのものではなく少し違った感じで作っていこうかと思っています。
まあ、とりあえず解体現場の様子をお伝えします。

まずはこれ!!

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新聞とチラシです。
畳に下をめくるとレベル調整のために敷かれていたものです。
見ると昭和58年の西日本新聞と通販チラシでした。初代若乃花の写真が大きくスポーツ欄に。そして通販のチラシには健康食品とおば様の笑顔。レアものです。こういうのが思いもよらず出てくるのが、解体工事の楽しみでもあります。

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そして天井を落として、間仕切りを撤去。広めのリビングにしようかと考えています。

実は2部屋とも一日で解体工事終了しています。職人さんは4人。無理なお願いも笑顔で聞いてくれて、何よりスピーディーで丁寧。 まだ話の続きはありますが長くなりそうなので、次回も解体のお話をしたいと思います。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.18 いよいよいよ

NO18 hajimarimasu

いよいよいよ、工事スタートの日が来ました。4月からスタートしたこの企画。早いもので半年が経ちました。
今まで自分が書いたブログもう一度読んでみました。
前半戦はかなりハリキリモード全開でほぼ毎日更新しています。 中盤戦は息詰まり、失速状態。「いよいよスタートです」と、テレビ番組みたいに引っ張ります。 後半戦は今まで考えていた事をいったんリセットして、問題点を洗い出し、東京でいい刺激とヒントを持ち帰ります。 そして、工事着工します。 着工するということは、考えがまとまったからです。

リノベーションの本質とは・・・、自分の中ではひとつの答えが出ました。
間違っているかもしれませんが、現時点での答えです。
とてもシンプルです。

「リノベーションは、・・・・・・」

まだ書きたくない。
少しずつ書きます。
テレビ番組みたいに引っ張ります。すみません。
次回、解体現場、お伝えします。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.17  ゆるさ

NO17

8月上旬のこと、東京へ4日間程出張する機会があり、1日だけフリーな時間を会社から頂きました。その貴重な時間を利用して東京の「建物再生事例」を見学することに。福岡に比べて東京はやはり都会。人口も多いし、当然建物が多い。もちろん古い建物もたくさんあります。古い建物の活用法が高度経済成長期を境に建物をどんどん建ててきた日本にとって今後の大きな課題の一つです。
R100プロジェクト第1弾、リノベーションの本質探しが行き詰まっている今、少しでも多くの事例、考え方や見せ方を、目で見て感じてくる必要がありました。正直なところなかなか動き出さない、出せない理由は「怖さ」と「責任」が時間が経つにつれてどんどん大きくなってきたからです。ここでいう「怖さ」と「責任」は必要とされているものをつくれるか、つくらなければならないという部分です。できなければ「ゴミ」をつくっていることと同じこと。つくらないほうがマシです。作り手として責任があります。その怖さもあります。じっくりと、しっかりと時間をかけて、考えて動かないといけないとも思います。 話は戻りますが、今回見学してきた物件をご紹介です。(写真抜粋)

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①東雲キャナルコートCODAN
②旧四谷第五小学校(吉本興業新社屋)
③MUJI新宿
④名曲喫茶ライオン
⑤ヒルサイドテラス
⑥ハリウッドランチマーケット
⑦代官山タワー
⑧D&DEPARTMENT東京
⑨大岡山駅東急病院
⑩三井物産 本館
⑪表参道ヒルズ

あまり時間がなかったので、競歩選手のように早足で歩き回り、1件1件じっくりとはいかなかったものの、いいものを感じてきました。

特に印象に残ったこと。
①東雲キャナルコートCODAN ⑧D&DEPARTMENT東京。この2件は、いわゆる「カッコいい」わけです。「カッコいい」場所や建物、お店って普通「ガチガチに固めた感」があったりしますが、ガチガチ感がない、少し抜けている、隙間があるような気がしました。
例えば①東雲キャナルコートCODAN。いわゆるデザイナーズ集合住宅、団地。建物としては水平垂直のグリットを基本形として、6組の建築家達がそれぞれの特徴、持ち味を存分に発揮した素晴らしい集合住宅。行く前の、写真で見てた印象と実際に行った印象は違っていて、さすがURだなって。デザイナーズマンションのイメージって、カッコいいけど、生活感を排除した、洗濯物も干せそうにない堅苦しい感じがあると思いますが、ここは違うんです。UR的な素朴感がある。幼少時代、そして今URに住んでますが、その空気感が残っている。
⑧D&DEPARTMENT東京も、扱う商品、店づくり、建物、立地すべてにおいて共通して、カッコいいけどがんばりすぎてない感じ。決して頑張っていないわけではなく、計算された「ゆるさ」が心地いい。 音楽やグラフィック、モデルや俳優の世界もこの「ゆるさ」ありますよね。これって大事なんじゃないかと思ってはいましたが、なかなかそうする事、そう作ることは難しい。プロ中のプロの仕事を見せてもらいました。
この体験を生かせるよう、これから進めていきます。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.16 大きな課題

今回の100万円リノベーション行う際の大きな課題、問題点がようやく見えてきたので、書き込みます。

最大の課題/問題点は、「費用が少ないこと」。

つまりは
「いかにコストを抑えるか」
です。

コストを抑えるためにはどうしたらいいか。

①仕入原価を抑えること
②人件費を抑えること
③使えるものは使うこと

大きく枠組みするとこの3点ではないかと思います。

もう少し深堀します。

①の仕入原価を抑えるためにはどうしたらいいのか!!

 ・建材関係の仕入ルートを考える、開拓する、最短ルートで。
 ・中古建材、再生建材をうまく利用すること。
 ・新品でも廃番品やアウトレット品を利用すること。
 ・材料ロスをできるだけ無くすこと。

②の人件費を抑えるためにはどうしたらいいのか!!

 ・ロスのないスケジュールを組むこと。
 ・できるだけ施工者さんを分離すること。
 ・手間のかからない工夫をすること
 ・途中で内容を変更したり、止めたりしないこと

③の使えるもの、使えないものをどう見分けるか!!

 ・危険か安全か。
 ・短期的に使えるのか、長期的に使えるのか
 ・快適に使えるのか、少し不便だけど使えるのか、無理すれば使えるのか
 ・ここは快適に、ここは不便だけど我慢してもらうか決める

ただ、コストを抑えるために、これだけはしてはならないこと。

「建材を仕入れる業者さん、施工する業者さんに無理やり価格を下げさせること」

例えば、全部で180万円の見積もりが上がってきたとします。それを「100万円にしてくれ」と無理やり価格を下げさせることはしてはいけないということです。
ここでいう「無理やり」とは何も考えずに言うこと。100万円になる根拠をしっかりと考えなくてはならないのです。
見積書の中にある工事項目、内容、材料、人件費を一つ一つ洗い出し、この価格が適正がどうかをしっかりと調べた上で、適正価格が100万円と判断できれば言っていい。
適正価格が150万円で、100万円しかないのであらば、①~③のような工夫をして金額を落としていかなくてはならない。お金を支払う側の権力で上からたたくことはしてはいけない。
仕入業者さん、施工する業者さんを、共に部屋を作っていくパートナーとして向き合わなくてはなりません。

少し熱くなってしまいましたが、今回の100万円プロジェクト。問題がたくさんあって一つ一つ解決していっている真最中です。なかなか着工までに時間がかかっていますが、もう少しで見えてきそうです。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.15  どうにもこうにも。

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磨いてもどうにもならないものもありました。ステンレスシンクです。汚れというよりは、焼けって状態です。磨いては見てもらったのですが、表面の錆色は抜けたものの黒いシミが残った状態に。黒いシミを落とすならば、かなり削らなくてはならず、また、穴があく恐れがあったので、再生は困難と判断しました。

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いまや、なかなか新品では手に入らないこのシンク。天板だけ新品に交換することも検討したのですが、木製スクリーンとシンクの間のスペースが狭く、冷蔵庫を置くスペースを確保できない状況もあり残念ながらワイドの小さいものへ交換しようかと思います。扉の取手をうまい具合で使う方法を考えてみたいと思います。

今回の清掃を担当した力武企画 力武氏の活動ブログ(最近更新はありませんが・・・)ご紹介します。http://blog.livedoor.jp/rikitake_plan/ご興味のある方は是非。

㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.14 シャカシャカ ピカピカ 

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現場に「シャカシャカシャカ」と響き渡ります。長年蓄積された水垢をシャカシャカ磨きます。残念ながら、竣工当時のものではないようです。(ちなみにその当時は木製の浴槽だったそうです。)

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普段なら写真左のバランス釜をガス給湯器に交換して、浴槽をそれに合わせて大きなものを入れるのですが、そうするのに20万円強費用が飛んでいくので、今回のお掃除メインターゲットとなったわけです。

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磨くためには少し特殊な道具が必要です。凄く目の細かい耐水ペーパーのようなものを使います。掃除のプロは「掃除をする対象物が、どんな道具を使ってどんな薬品を使い、どう汚れを取るか」を熟知しています。誤った道具や薬品を使ってしまうと、きれいになれるものも台無しにしてしまいます。

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そのペーパーを使って「シャカシャカ」磨くと、こびり付いた水垢はきれいさっぱり取れます。 
注意事項:特殊なペーパーを使用しています。耐水ペーパーなどで浴槽を磨くと大変なことになります。ご注意ください。

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磨いた後、表面にコーティングを施し、乾いたら完成です。写真ではわかりにくいのですが、肌ざわり、艶とも新品と変わらない仕上がりになりました。
「これなら使える」
捨てられる寸前のものがきれいになると気持ちがいいものです。

掃除職人の力武企画 力武氏も満足げな様子でした。

引き続き次回も掃除特集!!。残念ながらダメなものもありました・・・。それでは。

  ㈱スペースRデザイン 北嵜

NO.13 とうとうスタートです。

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2009年6月25日。

とうとうスタートしました。悩みに悩んだ結果、清掃から始めました。
普通、清掃からスタートすることは滅多にありません。一般的な工事工程は
解体→給排水、ガス、電気配管→左官・木工事→内装仕上工事→衛生器具・照明器具設置→清掃

清掃は普通最後なんです。
まあ、最後にする清掃とは少しニュアンスの違う清掃を今回は行いました。
浴槽や洗面台、トイレなどのFRPや陶器は磨いてコーティングすれば蘇ります。

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協力してくれるのは「力武企画」。ビルの窓ガラス清掃から特殊な、難題な清掃ものまで幅広く、きっちりとやってくれる頼れるパートナーです。

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水垢できれいとは言い難い浴槽や洗面台が使える状態になるのかは・・・・・・。

次回NO.14にて。

NO.12 僕はデザイナーではない

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今更ながらに簡単な自己紹介です。

1980年生まれの福岡市生まれ。男。 

僕はデザイナーではありません。主に工事監理や現場管理をする、いわゆる現場監督的な仕事をしています。なぜ「的」という表現をしたかというと、それ以外の仕事も多いからです。

現場監督的なので、デザインのプロではない僕が、この第1弾企画ではリノベーションの本質を探ろうとしています。デザイナーではないけれど、デザインは好きです。学生時代はデザイン学科にいたせいか、他の現場監督さんに比べてデザインに詳しい。たぶん。

僕自身が影響を受けるデザイナーさんは、ナガオカケンメイさん(D&D)、小林恭さん(ima)、間宮吉彦さん(INFIX)、岩崎一郎さん、深澤直人さん、原研哉さん  などなど。また、剣持勇さんや長大作さん、渡辺力さんなどの大御所プロダクトデザイナーさんにも憧れます。

映画館は苦手。
好きなドラマは80年代初期のものが好き。「北の国から(ドラマ編)」。「3年B組金八先生PART2」。いいですねー。すごく。
公団の築40年くらいの団地に住んでいます。団地マニアまではないけれど、団地は好き。
血液型はO型。身長173.7cm。身長を聞かれたら174cmとほんの少しさば読みます。
まだまだありますが、とりあえずこれくらいで。

なかなか、進展しない第1弾企画。なかなか一歩目を踏み出せない状態が続きましたが、踏み出します。

まずは・・・・、掃除。プロの掃除。活かせる部分と活かせない部分を判別するために思い切ってやってみます。
今からプロの掃除職人に電話して現場入りする日程を確認します。

NO.11 トリビュートとリノベーション

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今回は少し違う視点で。

細野晴臣さんのファンです。細野さんのアルバムはほぼ持っています。ソロも好きですが、はっぴいえんど、キャラメルママ、ティンパンアレー、YMOなどの作品も好きです。なぜ好きかというと、新しいジャンルを作っていこうとする「パワー」みたいなものが好き。そして、30年以上前の作品も、今に引けを取らない、今以上に優れた音楽を作り上げてきた事。凄い。そして、さまざまなミュージシャン達が影響を受け、敬愛している事。上の2枚の写真は、細野さんのソロデビューアルバム「HOSONO HOUSE」と細野さんを敬愛するミュージシャンが作り上げた「細野晴臣トリビュート・アルバム」。

この「トリビュート・アルバム」とは、
『トリビュートとは「称賛・賛辞・尊敬・感謝」といった意味で、自分自身に大きく影響を与えたり、尊敬していたり、あこがれの存在であったりするアーティストに対して敬意を表すアルバムであり、単なるカバー曲集ではない。』 フリー百科事典「ウィキベディア」より

あこがれのアーティストの原曲を、カバーするのではなく、トリビュートする。その原曲をどのような形で作り込むかはそのアーティストの自由。ほぼ原曲に近いものにする方もいれば、全く違うものに仕上げる方もいます。

トリビュートとリノベーション。

カバーとトリビュート。

リフォームとリノベーション。

部屋に対して、建物に対して、まちに対してトリビュートすること。
リノベーションにはトリビュートは欠かせません。

次回は、いよいよ本格始動します。では、よろしくお願いします。

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