NO.10 リノベーションとデザイン

futuurinobe-syonn

こんにちは。なかなかいいアイディアが浮かばない今日この頃です。 リノベーションの部屋にみなさんは何を期待しているのか、その言葉にどんなイメージを浮かべるのか、考えれば考える程見えなくなってきました。

NO.9でのお話では「磨く」をテーマにと考えていました。簡単に内容を箇条書きにします。

・部屋本体の意匠造作等は行わず、既存のものを限界まで磨く。 ・磨ききれない、壊れているもの、危険なものについては修理もしくは交換する。その際、できるだけ現状に近いものとする。つまりデザインはしない。
・「磨く」をテーマとした、選び抜いた磨く商品(お掃除用具)を部屋とセットにする。入居された方は「磨く」を楽しむ。
・体を動かして「磨く」こと(作り手、住み手)で、部屋本来の持っている潜在的な魅力を引き出す。そして、引き出された魅力は長期にわたって維持される。

ざっくりと以上のような事を考えてみました。けど、これって、部屋単体だけを見たとき、つまり、「磨く」のテーマを隠してみると、ただの原状回復なのではないかと。すごくきれいにはなるけど。

 

リノベーションの本質って、「好きになれない部屋や建物を、好きにすること=リノベーション」なのかなぁと考えていました。
<<<例えば、片思いの異性を振り向かせるためにする、行動や行為そのもの。
部屋を好きになってもらうために「デザイン」をする。ここでいうデザインとは表層的な意味での。

<<<例えば、好きになってもらうために、お洒落になる。
好きになってもらうためには他のやり方もあると思いました。今回の場合、「磨く行為そのものをすることで部屋を好きになってもらう」という考えでした。

<<<例えば、片思いの異性と共通の趣味(例えばスポーツ観戦)をする。語る。または、異性の趣味を聞きだして勉強する。

しかし、これはみなさんが期待する、イメージするリノベーションではないのかもしれません。違う言葉で表現されるモノのように感じてきました。たとえば、超原状回復とか、スーパーリフォームとか。
やっぱり、リノベーションと名のつく以上、デザインは切っては切れない存在なのかなーと感じ始めています。表層的なデザインをどの程度するかが、ポイントになりそうです。

NO.9 靴を磨く、車を磨く、自分を磨く、部屋を磨く

migakusyasin

ほぼ毎日更新していたこのブログが、一週間程更新がなくご心配くださった方はいらっしゃいますか!?いらっしゃればうれしいです。いてほしいです。最近少しずつお会いする方達に「ブログ見てますよ。頑張ってね」というお言葉をいただくようになりました。非常に読みにくい、堅苦しい文章が比較的多いので伝わっているのか、伝わっていないのかわからず不安な状態でしたが、お声を掛けてくださった方には伝わっているようで、ほっとしています。文章を書くことは慣れていないので、読みにくいとは思いますが、今後ともお付き合いよろしくお願いします。

話がそれてしまいましたが、この1週間でいろいろと考えてみました。写真を見たり、会う方々と話をしたり。そんなこんなである事に気が付きました。

「古くても、長く使おうとするモノ、好きなモノ、大事なモノって、いつもそれを気にかけていて汚れたら拭くし、磨いたりする。拭いたり、磨いたりする行為も楽しいし、きれいになったら気持ちがいい」

靴を磨く、車を磨く、自分を磨く、などなど。私自身正直あまりモノを磨かないタイプですが、磨きたいモノを見つけました。

「部屋を磨く」

完全な思いつきですが、古くなって汚れたから交換することよりも、古くなっても磨いてきれいにするほうが、気持ちがいいし、愛着も湧くし、何より捨てなくて済みます。そして新しいモノを買わなくていい。お金をあまりかけなくてもいい。いいことづくしです。

もう少し「磨く」を深堀して、企画書の作成にこれから取り掛かります。施主の承諾が得られれば、いよいよ具体的に実行に入ります。

NO.8 しろーと写真集

前回現場で撮影した写真をご紹介します。完全しろーとの写真ですので微妙ですが、少し現状の部屋の見方が変わるのではないかと思い撮影しています。

それでは1枚目。
toilet-door
トイレの扉です。
トイレ扉に「TOILET」の表示がされていています。竣工時に設備品としてあったのか、途中入居された方が貼ったかはさだかではありません。オフィスビルや商業ビルであれば表示する必要はありますが、なぜ住居なのに貼られているのか。ミステリーです。ゆるい遊びかもしれませんいろんな妄想が膨らみます。雪の結晶のような模様の型板ガラス。その周りに木製のガラス押さえのカラーリングが控え目なピンク。使い込んだ感のあるステンレス製ドアノブ。いいーですねー。GOOD JOB!!

onpu
続きまして2枚目。キッチンに面している窓面の写真です。
楽譜をイメージしたフックを、瞬間湯沸かし器を設置するための木材にビスで固定。これは以前入居されていた方が残していかれたもの。味のある木の質感とポップな小物との相性がいいですね。

ban
続きまして3枚目。分電盤です。
今では考えられない程のラフな仕上がり。昭和ですねー。

wasitusoto
では4枚目。和室。
写真中央にある、だいぶ使い込んだ柱。和室の天井。窓部分にある手すり。壁面の白。畳のグリーン。いい具合です。木も革と同じように使い込む程に味が出ます。

sus-sabi
そして最後。キッチンシンク。
錆びのような、焼けのような、ひどく傷んでいます。竣工当時からあるこのシンク。しっかりメンテナンスしてればこんなことにならなかったかもしれません。これは「味」ではなく「汚い」ですかねー。「味」と「汚い」はすごく微妙な、見る人や使われる用途によっても変わってきます。この写真は極端ですけど、すごく判断するのが難しい部分です。

 

ごくごく一部の写真をご紹介しました。何気なく部屋を眺めるのも大切ですが、その部屋を細かく撮影してみることでいろんな発見がありました。もう少し、撮影してきた写真を眺めてもう少し考えてみたいと思います。

NO.7 「不安・不安・期待・不安・期待・不安」な気持ち

futatabigennba

予想どおりの予算オーバーで気を落としている暇もなく、再び現場へ。100万円って大金なはずなのに・・・、と思いながら。

100万円で何が買えるかとふと考えてみると、自動車が1台買えますし、CDアルバムが332枚買えます。500円ランチが2000食、つまり1年365日毎日食べたとして約5年半食べ続けられます。この部屋にたとえば1円も掛けずに、1台自動車をもれなくプレゼントってのもいいんじゃないかと思ったりもするけど、それってリノベーションなのか!?と思いながら、もう少しそれを煮詰めていくと、リノベーションになるかもしれないとか。脳の中はいろんな妄想を膨らませながら、2、3日が経過しました。

そうこうしながら、現場に来ました。そしてその場に座り込んで、この部屋をどうすればいいのかをもう一度考えてみました。この部屋が新築だったころ、つまり40年前、ここに来た人達はどう思ったのか。20年前だったらどうだったか。1年前は・・・。10年後は。20年後は。時間が経つにつれて新鮮だったものは古びていくものと考えがちですが、古くなったことで価値が上がるモノもあります。しかし、すべてではないわけですが。この部屋はどちらに当てはまるのか。前者ならこんなイメージに。後者ならどうしよう、イメージできない・・・。座り込んで1時間。

立ち上がってから、思い出した。ある方から教えていただいたこと。いろんな角度からの写真を撮ってみることで、目で見るよりも違った見え方が発見できる。ということで、写真を取りまくり現場をあとに。

私の心の中は「不安・不安・期待・不安・期待・不安」。期待よりも不安が多いです。

NO.6 やっぱり足りない

tarinai

予算はやはりオーバーです。水廻りとガス関係をまず変更して、塗装して、畳替えて、電気関係をやり替えて、最後清掃して・・・・・200万円。えっ!!予想通りの100万オーバー。水廻り、ガス、電気をいわゆる普通にするだけで100万円ぐらいかかりそうです。築40年。洗濯機置場はないし、和式便所やし、バランス釜やし、電気の線古いし、今の当たり前の設備を整えるだけでここではすぐに100万円になってしまいます。リノベーションどころではないですねー。んーー・・・・・・・・・・・。ふーーー・・・。ここからが本番です!!

NO.5 現状図面を描きながら考えるタイプ

gennjyouzu

先日の現場調査・実測した資料を持ち帰り、まずは現状の図面を描きました。
床から天井の高さ、壁から壁の寸法、壁厚、土間から床の高さなど実測した寸法を図面に落とし込んでいきながら、現状を頭に叩き込んでいきます。現場で見た感覚だけでは僕の場合なかなか頭に入りません。なので図面を描くことにしています。描きながら撮影してきた写真を見て「当時はこんな納め方しとるんやー」とか「ここはよく考えられとうねー」とか、当時の設計士さんの心の中に少し入り込むような気持ちで描きます。この作業は意外と楽しいです。ある見方をすれば、新しいプランの図面を描くわけではなく、ただ現状存在するものを描くだけなので退屈そうな気もしますが、僕は楽しんでやっています。

話は少し変わりますが、CADソフトで図面を描くのが当たり前になったのはたぶん10年とか15年前くらいだと思います。僕が社会人1年生のころ、ちょうど7年前では当たり前にCADソフトを使ってました。僕の少し上の世代、今30代後半の方達は手書きからCADの移行期にあたるので、手書きもCADもかける方が多いです。現場とか打ち合わせとかで、手書きでサラサラっと図面を書かれるのを見ると「カッコいい―!!」って感激します。たまに手書きで描いてみますが、へたくそで自分にガッカリします。

話がだいぶ本題とそれてしまいましたが、ある程度のイメージが固まってきた気がしてきたので、概算金額を出してみます。

NO.4 ご質問がありました。

e8b3aae5958f

今回の第一弾企画の内容等についてご質問がありましたので、ご報告します。

Q:100万円は誰が払うのですか?
A:100万円はビルオーナー会社である吉原住宅が支払います。

補足:
今回の第一弾企画は、賃貸マンションにおけるリノベーションをテーマとしています。

賃貸マンションと分譲マンションの大きな違いは、
一つ目に住み手が部屋を借りる(賃貸)のか買う(分譲)のかです
賃貸の場合そのビルを所有するオーナーがいらっしゃいます。分譲の場合は住み手がその部屋のオーナーです。オーナーつまり所有者がその部屋に手を加えるとするならばお金を支払うことになります。

二つ目の違いは賃貸マンションの場合はオーナーにとってそれは商品です。
分譲マンションの場合はオーナーにとってそれは暮らすための家です。
賃貸マンションのオーナーにとって、その商品を借りていただかなくてはビル経営が成り立ちません。その商品は新築時はきれいで設備も整っており商品力があります。しかし、古くなるときれいさや設備の面で新築と比較すると商品力は下がります。商品力が下がると、当然空室が多くなりビル経営としては大変な状況になります。

賃貸マンションにおけるリノベーションとは、賃貸ビルオーナー目線でいうとビル経営を良くする手段といえます。
新築ビルを超えたデザイン性、設備性を加えることで商品力をあげます。一方借り手(ユーザー)にとっては、選べる選択肢が広がるという効果があります。新築マンションでは一般的に建設費の削減、作業効率を上げるためにいわゆる普通の部屋を作りがちです。住まいに意識の高いユーザーにとって普通の部屋は物足りないと感じておられると思います。手を入れたくても原状回復義務などの制約に縛られ、思うような部屋に住めないという不満を抱えられていると思います。
リノベーションはユーザーにとって理想の部屋に住める賃貸商品といえます。

一方分譲マンションのリノベーションとは、そこに住むオーナー自身が自分の住まいやすく、ここちよい部屋を自らのお金を使って行うものです。雑誌などで紹介されているリノベーションとは一般的にこのことが取り扱われています。

今回の第一弾企画では、オーナーが持つ賃貸物件(部屋)を、いかに費用対効果の高い商品にリノベーションできるか!!が一つの見どころになるのではないかと思います。
また、ユーザーがイメージするリノベーションを20%の費用(100万円の理由参照)で実現できるか!!も見どころになるのではと思います。
これらが実現した時はおそらく賃貸マンションにおけるリノベーションの本質が見えてくるかもしれません。 実現できないかもしれませんが・・・・。とにかく実現に向けて頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

NO.3 とりあえず現場に行ってきました。

genbakakunin
とりあえず現場を確認しに行きました。山王Rプロジェクトでは主に工事担当で加わっていたので、室内の状況かはある程度わかりますが、念のために行ってきました。前情報でほとんど既存の状態ってことは聞いていたのでどんな感じなのかわくわくしながら。

dscn9022
玄関入って左を見た写真です。
すりガラスの木組パーテーションとキッチン天袋のベニアの色が深いですねー。新品の木に、これくらいの染色塗料を塗ってもこの深みはなかなかでないんですよねー。
奥の扉はお風呂と洗面室の扉です。浴室の扉は今だったらアルミ製のものを入れるんですが(錆びないから)、40年前は木製建具が普通だったんだと思われます。

dscn9050
お風呂、洗面です。
浴槽側面にあるものはバランス釜です。昔はこれでお湯を沸かしていました。シャワーは付いています。床と壁はタイルを貼ってあります。壁面のタイルは一度貼り替えているようです。鏡が変な位置についてるのが気になりますが、洗面台正面が窓になっているのでここに付けたのでしょう。

dscn90591
トイレです。
和便器です。壁はアイボリーとブルーに塗り分けされています。便器の底の「ブルーレット置くだけ」のブルーのグラデーションがきれい!?ですね。当時のデザイナーさんは深いとこまで考えられていて関心します。和便器の場合ペーパーホルダーは座って正面に付けます。

dscn9033
奥の和室からキッチンをみた写真です。
キッチンは40年前のもの。畳はさすがに表替えしていますが、歩くとぼこぼこしています。右の扉を開けると簡単な収納スペースになっています。この扉は途中で交換しています。以前は襖戸だったと思います。格子のガラス戸も交換しているようです。

dscn9021
窓際はそこそこ日が当たります。ダイニングの床は元のPタイルの上からクッションフロアーが貼ってあります。

 

ざっとみた感じ、40年ほとんど扱われていないお部屋ですが、ここに住まわれた方が大事にされていたようできれいな印象です。ただ、お風呂のバランス釜や和便器など設備の仕様が気になるところですが。100万円で納めるとなると設備工事の程度が一番の問題になりそうです。これから実測してまずは図面を書いて検討してみます。

NO.2 100万円の理由

riyuu

「R100プロジェクトにちなんで100万円でリノベーションに挑戦したいと思います」と前回のブログで書き込みしましたが、少しこの件で補足します。
ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、イタリアの経済学者でヴィルフレド・パレートという方が、経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという説、「パレートの法則」があります。これに近い法則で「80:20の法則」もあります。

例をあげると
・仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
・全体の20%が優れた設計ならば実用上80%の状況で優れた能力を発揮する。

この法則をリノベーションに当て込んでみると
・リノベーションの成果の80%は、全体の20%で構成されている
・リノベーション費用の20%は、全体の80%の要素を構成している
となります。

ということは
・リノベーション費用500万円の20%、つまり100万円で全体の80%の完成度まであげられるってことです。

しかし、費用を20%にしただけでは何もならないわけで、リノベーション全体の20%の本質をつかまなければ意味がないです。自分で言いながら、めちゃくちゃ大変な難しい問題を解こうとしています。無茶なことかもしれませんが、やってみることに価値がある。そう信じて頑張ります。

NO.1 記念すべき第一弾企画

efbd92efbc91efbc90efbc90efbd90e38080no1

R100プロジェクト記念すべき第1弾は・・・・「リノベーションをもう一度考えてみる。100万円でリノベーション」

福岡市博多区にある1967年(昭和42年)に竣工した「山王マンション」。「ライフスタイルデパートメント」をコンセプトに、全45室ある内24室がリノベーションされ、一室一室が異なったスタイルのお部屋で構成されています。このリノベーションマンションというべき建物の一室で、リノベーションとは何かを改めて考えていきたいと思います。

まずはリノベーションの一般的な定義をご紹介します。
「リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりすること。建物の経年にともない、時代に合わなくなった機能や性能を、建て替えずに、時代の変化にあわせて新築時の機能・性能以上に向上させること」~ALL ABOUT住宅用語集より~

次にみなさんがイメージするリノベーションって、間取りや設備の一新はもちろんのこと、デザインもその時代のニーズにあったものだと思います。例えば、2007年12月にこの山王マンションで行われた「山王Rプロジェクト」。12室あるリノベーションルームのほとんどは、躯体まで解体し新たに創り上げられたものです。ちなみに費用は400万円から500万円ぐらい。みなさんがイメージするリノベーションはお金がかかります。
 リノベーションとお金。切っては切れない存在。そのお金を取ってみたとき、またお金に甘えられないとき、リノベーションの本当の姿が浮き出てくるかもしれない。これまでのリノベーションを否定するのではありません。リノベーションの本質をもう一度考えてみたいと思ったわけです。

今回の企画では、リノベーションの一般的な費用とされる額の1/4、1/5の額。R100プロジェクトにちなんで100万円でリノベーションに挑戦したいと思います。

みなさんにこの挑戦していく過程をブログにてご報告していきます。
正直失敗に終るかもわかりませんが・・・がんばります。

それでは、いよいよスタートです。

第1弾 企画・運営 株式会社スペースRデザイン吉原住宅有限会社 北嵜剛司

R100pをフォローしましょう
R100プロジェクトはtwitterを利用しています。