no.13 レビュー書きました!

こんにちわ。北嵜(キタザキ)です。
さて今回のプロジェクトテーマは「NEW STANDARD RENOVATION」。
リノベーションに求められる新しい基準とは何かを提案することを目的としています。
ということもあり今回の4室はかなりとがった感じ。
しかし、そこには社会の転換期、さらに賃貸マンションも例外なく転換期を迎えた今、新しい扉を開け、次の基準を見つけなくてはいけない時期にあるのだと思います。
それぞれが考える、これまでの賃貸リノベーションの枠にとらわれない新しい基準を探りながらレビュー的に書いてみました。

#206「BATON
デザイン:北嵜剛司(㈱スペースRデザイン)
『賃貸らしい歴史、魅力の積み上げる仕組みを考える。』

賃貸マンションの分譲と違ってお部屋を借りて住まうという前提があります。所有しているわけではないので、ある一定期間住まい、原状回復をして元に戻して返却するという仕組みが一般的です。リノベーション物件も例外ではありませんでした。
この仕組みでは古い建物は時間が経つにつれてどんどん朽ちいくのではないかと思うのです。
住まう人同士やお部屋の歴史をつなぐBATONになるような新たな賃貸の仕組みをつくること。。
それは時間が経つごとに朽ちていくのではなく、さらに魅力を増していくのではないかと思います。




#305「”the times” transplantation””時代”移植”」
デザイン:信濃康博(信濃設計研究所)
『クリエイティブに考える余地』

古いものに新しいものをバランスよく散りばめて構成するのではなく、60年代のミッドセンチュリーを思わせるうねる曲線垂壁とストリングスカーテンで新古を分断、対比した空間構成。
さらに分断した面には「新」と「古」どちらにも馴染む中間的なカラーで塗装。空間の持つ意味や潜在する魅力をさらに引き出している。
しかし、「住まい」という枠組みの中でこの空間を観るとやはり違和感を覚える方も多いはず。しかし「住まい」とか「SOHO」などの用途の枠組みにとらえて空間を構成するのではなく、「時代様式並列空間」という用途の枠組みでは納まらない、固定概念にとらわれない空間をつくることで、暮らし方をさらにクリエイティブに考える余地が生まれ、新たな賃貸の進むべき可能性が広がった。




#309「Freedom~もっと自由に~」
デザイン:中村綾子(A’s glass studio)
< 『つくり手と住まい手がやさしく歩み寄る、距離感』

今回のプロジェクトで唯一の女性。本業はステンドグラス作家。
「ものづくり」をする女性として、「ものづくり」の楽しさを賃貸の暮らしに取り入れる提案をしている。
壁には棚や絵を飾れるように下準備がしてあったり、設置品である棚や小物は手軽に楽しめるIKEAの製品をチョイス。けっしてものづくりのハードルを上げるような提案ではなくほんの少しだけ賃貸を楽しむヒントが散りばめられている。
そのものづくりを押しつけないバランス感覚は、作家として自身の創作活動のみにとどまらず、ステンドグラス教室をひらき一般の生徒さんにものづくりの楽しさを教える活動もしているからだと思う。
壁の塗装や床の質感はやさしく落ち着きがある。陽当たり良好がとてもいいこの部屋にぴったりだ。ひかりとの関係性のが深いステンドグラス。ものづくりをする女性ならではの「きくばり」がそこにはある。 
つくり手と住まい手がやさしく歩み寄る、その距離感に賃貸の新たな基準が生まれるはずだ。




#401 soft – psychedelic(ソフトサイケデリック)
デザイン:瀬下黄太(AMP GALLERY & CAFÉ・アトリエてらた/)
< 『アート/音楽カルチャーで切る賃貸の新たな可能性』

新品のジーンズをリメイクするように、新品の建材をリメイクして空間を作る。
父は画家、兄は造形作家。そして自身は音楽やアート、ファッションに精通する。
PORTER’S PAINTSを使ったさまざまな配色や素材感。それぞれが主張しているのも関わらず、全体としてまとまり成立しているのは自身のバッググランドにそのすべてがある。
そのすべてをミクスチャーし奥底から生みだされた空間はデザインではなくアートである。
デザイン、つまり商品という枠にとらわれることなく、アートでパーソナルな「作品」として自身の心の底から表現された賃貸リノベーション。賃貸の新たな可能性がここにあるのではないでしょうか。

Photo:日髙康智(air studio)
テキスト:北嵜剛司(㈱スペースRデザイン)

no.12 デザイナーインタビュー #206 北嵜剛司

デザイナーインタビュー #206 北嵜剛司(㈱スペースRデザインリノベーション事業部ディレクター)

今回の続・山王RのプロジェクトリーダーであるスペースRデザインの北嵜さんに山王マンションのあちこちに行き、これまでのリノベーションについてじっくり話を聞いてきました。

『リノベーションは「人と人」、「人と建物」、「人と時間」そして「人とまち」とをつなぐコミュニケーションツールだと思うし、楽しくおもしろく暮らすためにあるものだと思うんです』

Q:お仕事について教えてください。
A:仕事はですね、これまで主に築30年以上の賃貸マンションを中心に60室以上、もう70室ぐらいになったかもですが室内リノベとか、2棟の耐震改修や大規模改修をディレクションしました。自分で企画から設計、工事まで全部やったものもあれば、建築家さんとかアーティストさん、デザイナーさんと一緒につくらせていただいたお部屋もあります。

Q:具体的にどのような事を。
A:今の会社に入社したのが2007年で27歳の時です。で、デザイン系の大学を卒業して家具設計施工会社に3年勤めて、その後店舗設計施工会社に2年勤めて、で今の会社にお世話になることになりました。担当は工事管理、現場監督的な役割です。で、最初のお仕事が山王Rプロジェクトでした。

リノベーションという言葉は聞いたことあったんですが、賃貸マンションの事とかは全然わかってなくて。なんでリノベするのかもよくわかっていない状況で13室のプラン管理とか工程管理、コストとか発注とかの管理をやってました。工事的なことだけは前職までの経験で大体わかってましたが、賃貸ってなに?って感じで。訳分からん状態でしたね。で、その最中にたまたま一部屋空いて社長の吉原が「この部屋を募集できるようにして」ってなりました。けど原状回復するだけじゃもの足りなくて。じゃあ、同じぐらいの費用の中でリノベにしちゃろうかと。

で、初めて企画からデザイン、施工をやらせてもらったのが「オルタナティブルーム」です。わからんなりに賃貸のリノベーションって何だ、と考えて。考え付いたのがコンセプトをつくることでした。しっかりとしたコンセプトやテーマを持つことがリフォームとリノベーションの違いだし、差だと。で、作りながら考えながら思ったんですね。今までの職業は建設業界にいて、いまは不動産業界にいる、転職したんやなぁと。

で、そのあと新高砂マンションの大規模改修、建築家の信濃さんと組ませてもらって。外壁改修と給排水管の全面更新ですね。2008年。この時は建物を長く使い続けるために中長期の修繕計画とか収益計画とかを見直していく作業から始めて。かなり大変でした。この頃ガッツリ痩せましたね。会う人会う人「大丈夫ですか?やつれてます」みたいな感じで。今は完全に逆になっちゃってますがね。

で高砂女子R。山王Rの時に比べたら、自分のやるべき事、役割。賃貸のリノベをすることについて意味も理解出来ていたからすごくスムーズに仕事を進めることができていたように思いますね。投資的な。利回りとか回収期間だとか賃料設定だとか稼働率だとか。この頃あたりから自分の中で賃貸がスッと入ってくるようになったのは。

で、2009年。山王マンションで2室古いお部屋が空きました。で社長の吉原がまた「募集できるようにして」って。けど2室 同じような間取りで、状態も同じような感じで。なんか面白い企画考えようと。で生まれたのが「R100プロジェクト」。 そこにたどり着くまで結構いろいろ企画考えたりして。その頃山王Rとか高砂女子Rとか大型のプロジェクトが続いたから、テレビで言うところの深夜枠的な。ちょっと変わったことやっていこうってノリで。

Q:深夜番組的にですね!
A:で、R100プロジェクト。スタート時に考えてたコンセプトを少しずつ少しずつマイナーチェンジしていって。で今の形で落ち着いた感じです。「築100年を目指すリノベーションプロジェクト」に。で第1弾は100万円でリノベーションすることでもう一度リノベーションを考えようってテーマにしました。
スタートから約1年間、ほぼすべての過程をブログにつづるという、だらだらな感じで始めたんですが、今見返すと結構面白い内容やねーっと、僕だけかもしれま せんが思いますね。(笑)お金の話とかがリアルにストレートに書いてたりして。お時間ある方は是非はじめから最後までだら~と読んでほしいです。
http://r100p.space-r.net/part1/

このころからでしょうか、自分(のデザイン)をその部屋に押しこもうとはせずに、その建物、その部屋が持っているもの、魅力や歴史を引き出そうとする感じが芽生えてきたのは。100万円という金額制限を設けたことによって、その部屋と、そして賃貸リノベーションとしっかり向きあうことができましたし、視野が広がったような気がします。

で2011年の冷泉荘耐震改修工事。冷泉荘1階を耐震改修を含め街に開かれた建物を目指して大がかりにリノベーションしました。この時は平面図しか書かずに、後は現場で判断していく、即興的なスタイルでデザインと工事を進めていこうと考えました。もちろん、耐震診断とか耐震設計とかは構造設計の先生にお願いしたり、ブレースの図とかはしっかり書いてもらいましたが、構造的に問題ない意匠的な部分は平面図だけ。

工事は東急建設さんだったんですけど。東急建設さんとか職人さんに山王マンションとかに来てもらったり、冷泉荘のお部屋を見てもらって「雰囲気はこんな感じで!この辺のこういうがイイ感じなんです!」とか。図面で伝えるより雰囲気を伝えて、写真ではなくって実物をですね。イメージを共有することの方が図面よりはるかに伝わってて。年配の監督さんだったんですが「ファジーな感じですね」とまとめてくれました(笑)ファジー。

Q:ファジーって懐かしい言葉ですね。しかし、雰囲気と平面図だけだとやっぱりすれ違ったりしちゃうんじゃないですか?
A:そうですね。古いものの味わいとかその場所、建物の空気感とか雰囲気とか。その建物の積み重ねた過去を活かすためには、図面を中心に紙で指示するスタイルではなくって、その場で即興的に判断していく方がいいんじゃないかって思っていて。といいながらもやっぱり多少のすれ違いがあってイメージと違う部分もあったんです。
イメージ通り直してもらおうと思ったんですが、そのすれ違いの部分をあえて残すことにしました。その方がすごく生き生きと感じることができるんです。造り物(フェイク)ではなく本物(リアル)の証みたいな。本物って決して整ってないじゃないですか。そこに魅力があるんじゃないかと思うんです。ムラがあるからいいんじゃないでしょうか。
余談ですがこの前「フェイク(fake)」の意味調べてたら、「偽物」とか「模造品」という意味のほかに「ジャズで即興演奏すること」っていう意味もあるようです(笑)。考え深い。。。。

で、ここ2年位前から「リノっしょ」というプロジェクトをやっています。リノっしょとはそこに住んでいる入居者さんと僕たち管理会社が一緒に棚付けたり、壁に色を塗ったりするプロジェクトです。けどただ壁紙を好きなように選べますよとか、入居者さんが自分の好きな色に塗っていいですよっていうのとは少し違っていて。

僕らのようなお部屋をつくって提供する側では分からない、数年暮らすことで初めて分かるそのお部屋の魅力とか、欠点とか。その建物についてとか街についてとか。一緒に考えて、意見交換しながら体を動かして作業する。そうするとその部屋、建物への愛着が僕たちも住まう方も増して。さらに素敵に暮らすことができて。で、数年後そのお部屋を去る時がくるとき、原状回復のようにリセットするんじゃなくて、魅力あるお部屋のまま次に住まう方へとバトンを渡す。その繰り返しが建物や人を生き生きさせてくれる気がします。

リノベーションは『人と人』、『人と建物』、『人と時間』そして『人とまち』とをつなぐコミュニケーションツールだと思うし、楽しくおもしろく暮らすためにあるものだと思うんです。少なくとも僕にとってはそうなんですよね。

それと住まいって他と比べて遅れているというか進んでいない感じがあると思うんです。それは賃貸マンションの仕組みがそうさせているんじゃないかって。特に原状回復義務ってのが大きな要因だと思うんです。自由に壁に色塗れないし、棚も付けられない。だから「借りもの」なんです。だから愛着もわかない。そして退去したあと、また以前と同じように原状回復する。。
つまり、リセットするわけです。後戻りしてる。当然進まないですよね。時間は常に流れているわけで。どんどん遅れていく。悪循環ですよね。新築は「今」だから輝いているわけですけど。
常に進んでいく、進化していく。賃貸だからこそ出来る時間が経つにつれて魅力が増していく仕組みをつくらなくてはいけないんじゃないかって思っています。

Q:その流れで今回のお部屋になっていくわけですね。
A:はい。今回のお部屋。2008年にデザイニング展で「おとめぶた」という当時九州産業大学芸術学部の女子大学生ユニットがライブペイントしていて。まず、この絵をどう取り扱うかが最大の課題であり面白いところなのかなと。時間が経つにつれて魅力が増す賃貸の仕組みづくりにつながるヒントが生まれるかもしれません。

で、タイトルはですね「BATON」。

Interview:森岡陽介
Photo(※001※004):森岡陽介
Photo(※002.※003):山野雄樹
Photo(その他):北嵜剛司

プロフィール:北嵜剛司(㈱スペースRデザイン リノベーション事業部/ディレクター)
1980年福岡生まれ。2002年九州産業大学芸術学部卒業。家具デザイン、店舗デザイン施工会社を経て2007年吉原住宅(有)入社。2008年㈱スペースRデザインに移籍。2012年取締役就任。築30年超えの賃貸ビルを中心にこれまで60室以上の室内リノベーションや耐震改修、大規模改修のディレクションを行う。続・山王Rプロジェクトリーダー。

no.11 デザイナーインタビュー #305 信濃康博

デザイナーインタビュー #305 信濃康博(信濃設計研究所/建築家)

2004年から8年間。弊社と共にリノベーションに取り組んできた信濃さん。築34年の新高砂マンション、自らリノベーション設計した仕事場でお話を伺いました。

『リ・イマジネーション時代。収益システムの構築。リノベーションは仮面ライダーと似ているんですね。』

Q:お仕事について教えてください。
A:新築では住宅、え~一戸建て。集合住宅。え~職場空間としてのテナントビル、工場。で、住宅の中では、いわゆる企画で面白いところでコーポラティブ方式。うん。お客さん希望の住宅とは別にコーポラティブ方式で住宅をつくるという事。新築ですね。リノベーションで言えば、吉原住宅さんのお部屋をやってきました。ビルの大規模改修もですかね。 建築家として研究、考えをまとめる、述べていくためにブログなどで情報発信してますね。

Q:具体的にどのような研究を?
A:時代の変化とリノベーションがいろいろ関係あることが分かってきて。大前提となる時代の変化。大転換期ですね。それが社会全体のいろんなところで見られると。その中の一現象がリノベーションであると。そのあたりを研究しているわけですね。まあ、近代になって近代の目標が満たされてきて。で、人の考え方が変わってきたんでリノベーションが成り立つようになってきたわけですね。仮面ライダーと似てるんですね。 つまり、「リ・イマジネーション(再創造)」の世界ですね。

<プリントアウト中。30秒程度の沈黙>

Q:信濃さんの価値感も大転換していますか?
A:ええ、私の価値感も変化していってますね。どこの分野もリノベーションしてるわけですよね。イノベーションですね。大方向転換。

<シャツシャっ プリントアウトする音 20秒くらい>

仮面ライダーディケイド。結局ですね、仮面ライダーができたのは1971年位なので築45年ぐらいの建物と大体同じなんですよ。で、30年経って平成ライダーってのが始まるんですね。で結局ですね、2000年位までは完全に敵がはっきりしてて味方がやっつける。その繰り返しでよかったわけですよ。コンセプトは同じで。敵と味方がちょっと変わるだけで。で、飽きてくるわけですよ。衰退してくるわけですよね。
その頃は、建物で言い替えるとリフォーム時代。年数がたってくると人気が落ちてきて、多少表現をリフォームするんですけど相対的には落ちて行って衰退していくと。2000年になると平成ライダー時代、え~建物ではちょうど30年経って大規模改修時代に入ってきて。リノベーション時代。建物でいうとリノベーション時代ですけど、世の中でいうと「リ・イマジネーション」時代。結局。収益システムの構築。常に価値を更新していく。前提となる敵がどうとか味方とか。設定を変えているわけですね。あの~毎回毎回。そういう風にしとかないと飽きちゃう。で~、敵がいいのか、味方が悪いのか。善悪の部分もあいまいになってきてて。白黒つけられない感じ。
以外とその辺がそれぞれリンクしてるんですね~。

うん、新しい価値、新しい仮面ライダーを再設定してコンセプトも変えて前提も変えちゃって。毎年違う話にしている。でグッズを売って、ライダー関連グッズでもうけて。他のとこ入ってきてないんですよね。自分達の中で収益システムをつくってしまったわけです。という話ですね。
でまた今度2030年ぐらい。次の時代変化があるだろうって事ですね。今のやり方がさあどれくらい続けることができるでしょうってところですかね~。

<プリントアウト中。30秒程度の沈黙>

これがある程度全体がわかる図。これで大体リノベーションの特質が分かってきたわけでね。まあ、軸を3本設定して。モダンデザインが以前は上位にいたんですけど、リノベーション世代になるのと同じような感じなんですね、これまでの山王マンションのお部屋を見比べればわかるんですけど。まあ素人、学生、全く別のジャンルの人がデザインしても、住まい手にはそんなの関係なくて同じようなレベル、というか単なる選択肢の一つでしかないわけですね。縦軸。プロ/アマ。職人技/DIY。昔はプロ/職人技がいいって言われていたわけですよ。けどこっち(アマ/DIY)がいいって人も出てきたわけですよ。そんな感じになってきて。(苦笑)恐ろしいですよ。でね、この部屋もさほどザックリな仕上がりな訳ですよ。それがまた雰囲気にあってるような感じで。だから簡単に上下は付けられないような感じで。で社会的に分かりやすい標準的なお部屋とか、反対にすごくアーティスティックでコンセプチャルなお部屋とかあってこの表で今まで作ってきたお部屋が分類できるんじゃないかと。で最近この辺(左上あたり)が広がってきたと。ようやく住まいもファッション化してきた、いわゆる一般文化のところまできたと。そういうことですね。住まいは遅かったですね。そういう大きな変化が見受けられると。

Q:これまでリノベーションしてきたお部屋について教えてください。

A:で~、これまで私がやってきたリノベ。山王マンションでいえばですね、最初は2004年。ここでは、あ~。402号室603号室。リノベーションというイメージを植え付けるために全く違った文脈と言いますかね、新しさを際立たせたデザインにして。実際見た人も驚くような。イメージの転換ですね。ここは。これも平成ライダーが出た時はみんな驚いたと。同じですね。昔のファンの人たちを怒っちゃったり。だから新しくするにはそうしないといけないわけですね。でそこでイメージ付けして。でその後僕の場合は新高砂マンション。

2005年。206号室、ここですね。(現在事務所として借りている)ここは「がらんどう作戦」。予算の関係もあり。で~「ゼロLDK」ってコンセプトで。がらんどうにしてその後は全部お客さんにやってもらおうと。自由にできる余白をつくったんですね。で自由に間取りは組んで下さいと。
その辺はリノベーションのマイナスのデザインですかね。基本的には部屋づくりができる人、意識の高い人に入ってきてほしいので、え~与えるだけじゃなくて自分でレイアウトしたい人も出てきているだろうと。だから引くわけではないんですね。引くわけではなく。無いことで価値が足されるという。その、なんでもかんでも付けくわえることが戦後日本の文化じゃないですか。でなくてなにもない方が豊かなくらしができるというあり方ですね。うん。

そして、山王R。2007年。このあたりから価値のフラット化が分かってきたわけですよ。山王Rはリノベーションにいろんなバリエーションがあることを出せたのが良かったんじゃないでしょうか。設計とかインテリアとか仕事としていない人がやったってことが大きかったですね。高砂女子Rとかもそうです。だからプロがやらなくていいんだよっと。プロがいてアマチュアがいてって構造が崩れ去って。バあっとべちゃっとなって。でそのあと広がって。で誰がデザインしようと関係無くなってね。お客さんも多様化してきてね。それぞれのお客さんが作る、そんな感じですよね。見てたら。別にプロがやった部屋じゃなくちゃだめだって人も減ってきたし。

A:建築家、プロとして信濃さんはどうしてくのですか?
Q:プロだからどうこうでは無くなってきたってわけですよ。(苦笑)リノベは誰でもできちゃう。服を着替えるように部屋を選ぶ時代ですから。服を選ぶ感覚と同じですからね。うん。で、住まいにこだわりもってる人、増えてきましたよね。ちょっと違う部屋に住んで見たいと。

Q:家の中にいる時間が以前と比較してだいぶ増えてきたんじゃないですかね。ネット社会がそうさせているのかもですね。
A:ネット社会、もう全体に広がってきてますね。影響を及ぼしてますよね。音楽関係は全く変わったし。新聞雑誌、マスコミ関係。教育関係もかわってますよね。

Q:情報の量とはまた別のところにあるような。
A:情報量。確かにありますね。あふれちゃて全然知らない人もいますからね。人一人の中で受け入れた情報が増えたかというとそういうわけではなくて。ある程度許容量があるからですね。うん。

<プリントアウト中。30秒程度の沈黙>

Q:これは。

A:住居、職場、サードプレイス。生活、仕事、脆弱な契約。昔はある程度一体化していたんですね。会社、家族。核家族とサラリーマンが一体化して社会を形成していたわけですね。この辺がばらばらになってきたわけですね。で、生活を大切にする、家族は大切にする、仕事は仕事と割り切る。個人的にこういうのができてくると、仕事とは違う自分名刺①、名刺②。自宅、職場、ロジ研みたいな。ふふふ。

Q:仕事以外での自分の居場所を信濃さんも求めているんですね。
A:うん、あるみたいですね。けっこう。無い人もいますけど。けど発散する場がないとつらいですよね。なんかね。でここ(家庭)もばらばらになってきましたからね。安定ではなくなってきたと。不安定。だからサードプレイス的なものがあれば全体的に安定するんじゃないかと。はたしてそうなるのかみたいな。
でこの3つの要素(生活・仕事・サードプレイス)のどれを重視するかってのはバラけてきた感じですよね。例えばお金を稼ぐための仕事として割り切って。趣味にお金かけて楽しむ見たいな。
でこの辺(住居のサードプレイス化)がリノベーション、空間と結びついてきてるんじゃないかみたいな。てことがだんだんわかってきた。

山王Rでそれほど価値ある、価値ないってのが個人の裁量にかかってくる、こう全部並べて順番付けられなくなってて。あの13部屋でどれが1番でどれがビリかって。でそんなの出してもなんの意味もなくなった感じですね。うん、全く。それが多少人気の差があったとしてもそれが何だっていう。

Q:そんな感覚ってここ10年ぐらいで大きく変わってますよね
A:その辺が面白い。

Q:で今回の続・山王Rのお部屋は

A:この図ですね。え~1968年の空間に2012年の空間が入り込む。まあここで1968年と2012年の時間と空間の旅。ここで40年。時間と空間を瞬間移動。そんな部屋を目指しています。

Q:今回のリノベーションは今までと全然違いますけど。なぜですか?
A:それは表現の話にもなりますけど。そうですね。今時代の変換期をどう分かってもらえるか。うん。まぁ、完全スケルトン、全部新しくするのもいいんですけどね。建物全体を考えて時間の流れを考えてもらいたい。それが新築にはないリノベーションの特徴なんですね。時間軸。その時間軸が建物に残ってるから感じられるわけですよ。それを感じてもらって。それを踏まえて未来のことも考えなくては。それを考えると長い歴史の中である一定の時間をうけもっているという感じですかね。うん、建ったときに関わった人って今いないじゃないですか。で使い終わるときに今関わっている人がいるかどうかわからないわけですよね。過去の建物の歴史をしりまた次の世代に引き継ぐようなその辺を感じてほしいですね。感じてもらい事で文化的に豊かになるのではないですかね。

Interview&Photo(信濃氏事務所内):北嵜剛司
Photo(リノベーション):松本和生

プロフィール:信濃康博(信濃設計研究所/建築家)
1965年生まれ「新人類世代」。日本の大衆文化にどっぷり浸かり大学で建築を学び始める。重力・構造・曲線・曲面・多面体・トポロジー・4D等かたちの特性について傾倒。ポップカルチャーの中で建築を考える。福岡と埼玉で活動中。

no.41 703号室完成しました

こんにちは、リノベ番長森岡です。

WEBのアップと併せて、こちらでも完成した703号室のお披露目です。
以前の投稿「no.35 703号室で考えた事」でこの部屋のテーマを綴っていますので併せてご覧いただけると幸いです。

44年前に計画され、丁寧に使い込まれた木部を最大限に際立たせたくて、壁の存在を消し、縁側でゆったりと過ごす
幸せな時間を創りだそうと思いました。
工事が終わると、鉄筋コンクリート造のビルの中とは思えない、情緒溢れる状況が生まれました。
とてもとても、落ち着きを感じられる部屋です。
それでは、どうぞ。

オーナーさんのブログもご覧になってみて下さい、違う視点でリノベを楽しめます。

お部屋に関するお問い合わせはスペースRデザインまで。

703号室のWEBページはこちらです。


リノベ番長・森岡陽介

no.40 603号室完成しました

こんにちは、リノベ番長森岡です。

WEBのアップと併せて、こちらでも完成した603号室のお披露目です。
以前の投稿「no.36 603号室で考えた事」でこの部屋のテーマを綴っていますので併せてご覧いただけると幸いです。

マジックアワーが現れたとき、部屋の中と外が繋がって幸せなひと時を過ごして欲しいと思い、天井に淡い桜色を入
れました。
しかし、実際には一日の太陽の移り変わりと共に天井の反射光も移り変わり、結果としてホワンとした柔らかい光に
満ち溢れた感動的な状況が産まれました。
とてもとても、幸せを感じられる部屋です。
それでは、どうぞ。

オーナーさんのブログもご覧になってみて下さい、違う視点でリノベを楽しめます。

お部屋に関するお問い合わせはスペースRデザインまで。

603号室のWEBページはこちらです。


リノベ番長・森岡陽介

no.8 Just Feelingで考えたこと。インタビュー☆

こんにちは。気がつけば11月下旬。街はクリスマスムードな感じになってきましたがいかがお過ごしでしょうか?キタザキです。今回の蝶和ビルリノベーションについてインタビューを受けましたのでご紹介します。
*実際は一人二役で自分でインタビューにしています

Q:今回のお部屋「Just Feeling」ですが、これまでキタザキさんがデザインしたお部屋と比較してすごく男性的な空間に仕上がっているようですが。
A:はい。今回ターゲットを熊本県出身のおしゃれ感度の高い、31歳(27歳の彼女有)男性にしました。27歳の彼女も熊本県出身で25歳までは福岡に住んでいたのですが今は熊本の実家で暮らしています。少しだけ遠距離。彼女23歳のときに共通のお友達の紹介で交際がスタート。交際歴4年。まだ結婚うんぬんの話はでていないようです。福岡と熊本ぐらい離れてるぐらいがちょうどいいとお互い口をそろえて言っています。趣味は。。。

Q:あっ!!もういいですよ!!妄想は。いや、しかし膨らみますね~。
A:はい。出来る限り膨らまします。楽しいので。

Q:今回のコンセプト「”Hello New VINTAGE”80’s Renovation」。そしてテーマ/タイトルの「Just Feeling」。このあたりのお話を聞かせてください。
A:以前ブログに書かせていただきましたよ!!プンプン!!
  http://r100p.space-r.net/r100p/part5-no-1/

Q:アア、、すみません。ちゃんと読ませてもらっているのですが、一応聞いとこうと思いましてね。ではお部屋の細かなこだわりを教えていただけますか?
A:はい。細かな部分より先に大まかなところから。今回のお部屋がある建物「蝶和ビル新館」は1989年築。築23年です。僕たちはこれまでに築30年~50年のビルを主にリノベーションしてきました。特に近年は古い良さを活かしつつ、新しい価値、デザインを加えていくリノベーションをしています。築30年以降の建物は「レトロ」という言葉に馴染むような室内の雰囲気、細かなパーツが使われており 逆に築20年位の建物はどちらかというと「新しめ」という印象でしかありませんでした。ですから正直リノベーションのお話をオーナーさんから頂いた時、お部屋を見させていただくまではしっくりきていませんでした。ところがお部屋に入り見てみると、至る所に80年代の古き良きパーツが散りばめられていました。

Q:「Hello New VINTAGE」とはここからきているのですね。
A:はい。自分で勝手に閉じてしまっていた「80年代レトロ」の扉がこのお部屋のドアを開けたことでひらいたわけです。レトロの扉の先にはビンテージという扉があると考えていて。なので「Hello New RETRO」ではなくさらにその先にある「New VINTAGE」としたわけです。

Q:なるほど、なるほど。レトロのさらにその先にビンテージ。具体的にどのあたりですか。
A:はい。キッチンの扉のプリント板の柄とか、楕円形の取っ手、赤茶色の縁。トイレの照明や便器の形状。洗面化粧台の丸い感じとか。洗面床のシートの柄もそうでしたね。たくさんありました、80’Sなパーツが。これは出来る限り活かそうと考えました。当初新しいキッチンに取替えようかというお話もあったのですが、十分に使えるし、80’Sな時代感満載だったので残しました。しかし、洗面のシートは痛みがひどかったので貼り替えることにしました。すべて残せばいいというわけではなくて、残して価値があり使えるものは残し、いい雰囲気なものでも機能を満たさなければ交換するという判断が難しくもあり面白いところでもあります。

Q:テーマの「Just Feeling」についてはいかがですか?
A:「Just Feeling」を直訳すると「無理なく丁度いい」。つまり、先程の話に戻るのですが残すものと交換するものの判断基準を「無理なく丁度いい」基準。なので、無理に80’sビンテージにするわけではなく、ゆ~るい感じで判断していく。その積み重ねがお部屋の雰囲気をつくり、ターゲットイメージに沿うやさしさや温もりを感じるナチュラルでスローな空間ができるんでないかと思ったわけです。

Q:では具体的にどのような工事をしたのですか?
A:大きく変更したのは和室2室、6畳と6畳を間仕切る壁と襖を撤去して無垢フローリングを貼りました。そして一部壁を壊してコンクリートを表しました。壁があったところに3枚の麻の布をカーテン風にアレンジして簡易に間仕切れるようにしました。それ以外は表装を綺麗にしただけです。

Q:表装を綺麗にすると言っても何かしらの意識があったと思うのですが。
A:はい。12畳のリビングは、床の色は濃いブラウンの自然塗料を塗り、壁のクロスや襖紙も真っ白ではなく少しアイボリーがかった色のものをチョイスしています。一方キッチンや洗面スペースは既存のライトブラウンなフローリングをそのまま清掃し残したということもあって、清潔感のある白を基調にしました。ただ少しビンテージ感を引き出すために天井のクロスを昔応接室とかで使われているような懐かしいクラシックな柄のものをさりげなくセレクトしています。

Q;他にはなにかありますか?
A:はい。壁を壊してあらわになったコンクリートが80’sな、時代感を醸し出しています。どの辺がっていいますと、専門的になっちゃうんですがね。コンクリートってセメントと砂と水で出来ていて。ドロドロとした、そうですねマックシェイクぐらいドロドロしたコンクリートを壁の形に作った木の枠(型枠)に流し込んで。時間が経つと固まって、固まると木の枠を外すんです。そしたら木の枠の、木の木目がコンクリートに形がつくんですね。普通はそのあとに薄くセメントを左官屋さんが塗って木目は見えなくなっちゃうんですが、出来たコンクリートを壁で覆う場合や天井で覆って見えなくなる場合は木目の形でおしまいなんです。だから壁や天井をばらすと、木目柄のコンクリートが出てきます。有機的で無機質で何ともイイ感じのコンクリートが。

Q:時代感は?
A:時代感は、その木の枠、型枠の形状が出てるってことです。築40年以降、つまり60年代あたりの型枠は8cm~12cmくらいの杉板を並べて固定して作っていたわけですが、70年代あたりからは幅90cmぐらいの専用の板でその後のコンクリートの仕上げを出来るだけ簡易に出来るように表面の板目が少ないもの使用するようになりました。建材や工法の時代感がさりげなくあらわになっているわけですね。

Q:麻の布のカーテンが気になります
A:3種類のカーテン的に使える布で間仕切るようにしました。3種類にしたのは気分でストライプの割合を多くしたり、ホワイトを多くしたり出来るように。ファッション的に小物やアクセサリーを気分で取り替えるのと同じように間仕切りを変えれたら楽しいだろうなぁって思って。このお部屋を借りなくても自宅で簡単に取り入れられるヒントが今回のリノベーションで提案出来たりしたらいいなぁと思いました。完成見学会ではこのカーテンに反応していただく方が多かったです。

Q:最後に一言お願いします。
A:僕が独身ならすぐにでもこの部屋に引越たいっ!! 独身の男性の皆さん、女の子にメチャウけするカッコいいお部屋ですので是非☆
お部屋についての詳しい情報はこちらをチェック
https://www.space-r.net/rent/chowa/206

キタザキ

no.9 必見!!リノベーションフォーラム開催!!

エンジョイ、レトロビル!リノベーション文化祭において「リノベーションフォーラム」を開催致します。

山王R(2007)、高砂女子R(2008)プロジェクトの続編として、1967年竣工のレトロビル「山王マンション」の4室を4名のクリエイターがリノベーションし再生するプロジェクト「続・山王R~NEW STANDARD RENOVATION~」。
この「NEW STANDARD RENOVATION」をテーマにレトロビルの未来について皆さんと考えるトークイベントです。ふるってご参加ください。

開催日:2012年12月15日(土)
時間:18:00~21:00
会場:山王マンション1階特設会場 福岡市博多区博多駅南4-19-5
参加費:1000円 (当日受付にてお支払いください)
定員60名(要予約)
申込:①お名前②年齢③職業④連絡先を記入の上、下記までメールをお送りください。
申込締切:12月12日(水)※定員になり次第受付終了させていただきます。
メールyj@tenjinpark.com

共催:株式会社スペースRデザイン /吉原住宅有限会社 後援:NPO法人福岡ビルストック研究会

第一部:続・山王R4名のクリエイターによるトークセッション
パネリスト
#206北嵜剛司氏
株式会社スペースRデザイン /ディレクター)
#305信濃康博氏信濃設計研究所/建築家)
#309中村綾子氏A’s glass studio/ステンドグラス作家)
#401瀬下黄太氏AMP GALLERY & CAFÉアトリエてらた /プロの遊び人)
コーディネーター
森岡陽介
株式会社スペースRデザイン /デザイナー)

第二部:福岡のリノベ界で活躍する3人が語る「NEW STANDARD RENOVATION」
パネリスト
橋爪大輔氏
株式会社ダイスプロジェクト代表取締役)
松山真介氏株式会社アポロ計画代表取締役)
吉原勝己氏吉原住宅有限会社代表取締役
コーディネーター
北嵜剛司
株式会社スペースRデザイン /ディレクター)



第一部/パネラープロフィール
北嵜剛司(㈱スペースRデザイン/ディレクター)
1980年福岡生まれ。2002年九州産業大学芸術学部卒業。家具デザイン、店舗デザイン施工会社を経て2007年吉原住宅(有)入社。2008年㈱スペースRデザインに移籍。2012年取締役就任。築30年超えの賃貸ビルを中心にこれまで60室以上の室内リノベーションや耐震改修、大規模改修のディレクションを行う。

信濃康博(信濃設計研究所/建築家)
1965年生まれ「新人類世代」。日本の大衆文化にどっぷり浸かり大学で建築を学び始める。重力・構造・曲線・曲面・多面体・トポロジー・4D等かたちの特性について傾倒。ポップカルチャーの中で建築を考える。福岡と埼玉で活動中。

中村綾子(A’s glass studio/ステンドグラス作家)
福岡市中央区でステンドグラスの制作をしています。
伝統的な技術を大切にしながら、ステンドグラスという固定概念にとらわれない新しいアートグラスという形での作品を提案しています。
生活に溶け込むガラスのアート。

瀬下黄太(AMP GALLERY & CAFÉ・アトリエてらた/プロの遊び人)
吉野ヶ里「AMP GALLERY & CAFE」、福岡「アトリエてらた」の代表。
博多のラトルズ?THE GOGGLESのギター担当と巷で噂の1968年型サイケデリックバンドの Strawberry Chocolate ‘s Surf Club BandのVO & Gも担当
基本PUNK(精神的に)PUNKレコード屋〜音楽事務所〜レコード会社〜洋服屋等職歴沢山。

森岡陽介(株式会社スペースRデザイン/デザイナー)
1977年広島市生まれ。近畿大学大学院修了後、建築設計、家具設計、インテリアデザイン事務所を経て2011年(株)スペースRデザイン入社。これまでの経験を活かし、機能と表現力に富んだ身体に響くリノベーションを行なっている。巷では「リノベ番長」と呼ばれている。



第二部/パネラープロフィール
橋爪大輔(株式会社ダイスプロジェクト代表取締役)
1968年大分生まれ。建築、空間デザインを中心に事業企画・商品企画、まちづくり計画、イベント企画運営、広告企画等コンセプトから表現まで一貫したデザイン及び総合ディレクションを行ない、幅広い分野で多岐に渡った活動を行なっている。

松山真介(株式会社アポロ計画代表取締役)
1968年福岡県北九州市生まれ。1993年九州芸術工科大学卒業。2000年アポロ計画設立。リノベエステイト代表。一級建築士としての経験に基づき多数のリノベーションを手がける。社団法人リノベーション住宅推進協議会九州部会長として、既存住宅市場拡大のための様々な活動に携わり、講演活動も積極的に行う。 1964年築ビルを一棟丸ごとリノベーションした本社ビル「 BLDG64 」に拠点を構える。

吉原勝己(吉原住宅有限会社代表取締役)
1961年福岡市生まれ。九州大学卒業後、旭化成で医薬品の開発を17年行う。その後、吉原住宅に入社し老朽ビルの再生が、資産価値向上と人のつながりを深める手段となることを確認する。 なかでも上川端築54年の「リノベーションミュージアム冷泉荘」は、文化発信・地域交流の拠点として運営することで、福岡のビンテージビルの象徴へと育てることに力を注いでいる。

no.39 御礼

こんにちは、リノベ番長森岡です。

今日は待ちに待った見学会を開催させて頂きました。
が、朝から生憎の雨・雨・雨。
にも関わらず、足下の悪い中、お越し頂いた皆さまありがとうございました。

予想をはるかに上回るご来場者数で資料が足りなくなり
また、充分なご説明を差し上げられない方もあり申し訳ありませんでした。

これからも心地良い場をご提供できるよう、更に精進して参ります。
今後ともよろしくお願いいたします。

そして、今回もリノベーションの機会を作って頂いたオーナーさま。
本当にありがとうございました。
良い意味で期待を裏切って参りますので、これからもよろしくお願いいたします。

さて、肝心のお部屋ですがヘトヘトなので各部屋1ショットのお披露目です。
続きは来週のお楽しみ。

オーナーさんのブログもご覧になってみて下さい、違う視点でリノベを楽しめます。

お部屋に関するお問い合わせはスペースRデザインまで。



リノベ番長・森岡陽介

no.8 デザイナーインタビュー #401 瀬下黄太

デザイナーインタビュー #401 瀬下黄太(AMP GALLERY & CAFE・アトリエてらた/プロの遊び人)

山王Rプロジェクト(2007)で「ヴぁ~~~」て感じの衝撃的なお部屋をリノベしていただいた瀬下黄太さん。芸術家であるお父様のアトリエを自らリノベーションした「アトリエてらた」で波乱万丈な人生を語って頂きました。

『今振り返ると全部リノベしてきてるんですよ。突貫的な感じで。自分達でね。』

Q:学生時代はデザインの勉強をされてきたのですか?
A:はい。高校と専門学校ではグラフィックデザインの勉強をしていました。専門学校ではほとんど勉強せずにふらふらして遊んでました(笑)

Q:その後はどのようなお仕事をされてきたんですか?
A:1985年位ですかね。20歳のときに友達からレコード屋をやらないかという話があって。パンクやニューウェーブ専門の輸入レコード屋の店長を。6年間。東京に本社がある「UK EDISON」というお店で。高校生からバンドやっていて。もともとそのお店にレコードを買いに行くくらいのファンでね。福岡店が出来るってことでその話聞いて飛び付いたんですね!そこでいろんなミュージシャンが来てて。で、そこに出入りする「デイト・オブ・バース」というバンドがありまして。北嵜くん若いから知らないと思うんだけど!でもたぶん音は聞いたことがあるんじゃないかなぁ!

その「デイト・オブ・バース」はバンドなんですけど、録音スタジオ運営とかCM制作とかやる会社を作っていて。そこにレコード屋をやめて働きにいきました。そのバンドがキティレコード(現ユニバーサル)でメジャーデビューしていて。小泉今日子が出てたドラマで「あなただけ見えない」っていうサスペンスドラマがあるんですけど。その主題歌でヒットしまして。夜パレとか出ちゃったりしてね。で売れたから、ライブやらなきゃいけねいって展開になって。スタッフしながらサポート、ギターとコーラスで全国廻ってましたね。3.4年位かな。

自分のバンドもやっていて。キティレコードだったからしょっちゅう東京いってて。そのキティレコードからCD出さないかって。で上京するんです。1995年位かな。一人で。で、ポシャるんです(苦笑)。バンドがね。で、他のバンドをしながら、働いてて。売れないバンドマンみたいな。パンの耳食いながら、風呂なしのアパートで。でも楽しくやってたんですね。
そしたら、キティレコードで「デイト・オブ・バース」の担当ディレクターがイーストウエストジャパン洋楽部(現ワーナーミュージック)に移籍して。プラプラしてた僕を引っ張ってくれましてね(笑)。そこで制作を何年かやらせてもらって。

イーストウエストジャパン洋楽部にいる頃の話なんですがね。また話がさかのぼるんですが、キティレコードのディレクターで森川さんが独立して始めた「オフィスオーガスタ」という音楽事務所があって。そこは「山崎まさよし」とか「スガシカオ」とか「スキマスイッチ」とか「元ちとせ」とかが所属してる事務所なんですが。社長がビートルズファンで。僕もビートルズおたくでね。しょっちゅうその話で事務所に遊びにいってて。それでまだデビューしたばかりの山崎まさよしくんと服のサイズが同じで。僕服が好きで、社長も好きでね。で山崎くんに服かしてたりしてた。(笑)僕もまだ痩せてたしね(笑)。スタイリストとかもいないからね。だから初期の山崎くんの衣装はだいぶ僕のなんですよ(笑)。

そうこうやっているうちに会社を辞めましてね。でオーガスタの森川さんに「やめちゃいましたっ」て話したら。じゃあ、あまってる服とかたくさんあるし古着屋やろうって軽い感じで始めることになって。じゃあ、お前洋服部門の担当だってことになって。でもう一人を本職のオリジナルの服をつくる相方と二人ではじめて。東京の中目黒に「ライディングハイ」っていう古着とオリジナルブランドを出す小さなお店をつくったんです。2000年くらいかな。

拾われた人生なんですよ。綱渡り的な感じでずっと(笑)。
で洋服屋やってて。向いてなかったのかな。すごく忙しかったし。音楽もその頃全然出来てなくて。で、辞めましてね。福岡の実家に帰ってきました。ですぐ帰るつもりが居心地よくてね(笑)ご飯美味しいし。東京のスピード凄くて。そのまま福岡でやってこうて事になりまして。で離婚もしましてね(苦笑)。いろいろとありまして。

で、福岡に帰ってきまして。ふらふらしてましてね。でまた戻るんです。デイト・オブ・バースに(笑)。その中の一人のメンバーが違う仕事やってて。3Dソフトの販売元とか携帯を使ったインスタレ-ションとかの企画とかやってまして。愛知万博で携帯を使ったインスタレ-ションをやったんです。毎日。その携帯データの管理の仕事しないかって。でやってるうちに事務所探ししなくちゃって。で大濠あたりの戸建てをリノベーションして作ったんです。1階がギャラリーで2階が事務所にして。
で1階の「マーズギャラリー」っていうギャラリーの担当をしました。兄の寺田太郎の個展や父の寺田健一郎の個展とかいろいろやってました。

しばらくして。2007年になりまして。その頃工房を兄(寺田太郎氏)がさがしていて。それまでは三瀬でやってたんですが手狭になりまして。で吉野ヶ里にでかい倉庫を見つけまして。そこが今のAMPですね。そこで倉庫をリノベーションしてギャラリーとかカフェ作って。でその年の冬に「山王Rプロジェクト」ですよ。 だからこの年2007年はずっと造りっぱなしで。

今振り返ると全部リノベしてきてるんですよ。突貫的な感じで。自分達でね。
レコード屋の「UKEDISON」は元々バーでそこをレコード屋に。古着屋の「ライディングハイ」は小料理屋でしたね。ここは解体工事から始めました。そこはプロの内装チームと組んでやりました。
で、マーズギャラリーの時もデザインチームつくってみんなで造りましたね~。壁とか床とか全部モザイクタイル貼ったり。外部に木格子造ったりね。 でAMPギャラリーは元々倉庫で。幽霊屋敷って言われてたところを掃除から初めて。掃除で3カ月位かかってね。でかいから。屋根も割れてて雨漏りしてて貼ったりとか。 で山王Rです。

Q:5年前にデザインした山王Rプロジェクトのお部屋について教えてください。

A:山王Rプロジェクトでは初めて住まいをつくったんですけど、兄の寺田太郎の作品を活かすみたいな考えで。あとヒントになったのはここ(現アトリエてらた)に吉原さんが来てね。太郎に「アトリエの雰囲気いいなぁ」って言ったらしくて。それをヒントにして太郎の作品を手摺りとか取手とかに配置して、アトリエの床に落ちた絵具をデフォルメして床に何色か色付けしたんです。
それとピンクフロイドにいるシド・パレットのファーストソロアルバムのジャケットの床に憧れてて。アトリエの床とジャケットのアイディアを合体させて出来たのがあの床ですね。太郎の作品を活かすことを大前提に、床やその周辺をデザインしたんです。照明もオリジナルで造ったり。試験管のやつね。
兄の太郎と、僕と。内装のプロの峰とアーティストの藤瀬、4人のチームでやりましたね。で4人で話してたのがアート関係の集団がやるんだから扉を開けた瞬間「ヴぁ~~~」って反応、それぐらいのインパクトあるものつくりたいよねって。で見学会したときにね、開けた瞬間「ヴぁ~~~」てみんななってさぁ(笑)。その時はうれしかったね~!!面白かったですよ(笑)床とかすごいじゃないですかぁ!だからあの見学会はすごい楽しかったですよ。

(北嵜)確かにオーラが半端なかったですよね。他のお部屋はプロの職人さんに図面や打合せでオーダーして全部作ってもらったのと比較して、瀬下さん達は設備的な部分以外は全部アーティスト的な感覚で、さらに自ら手を動かし作られていたので。その手触り感というか雰囲気というか、半端ないオーラでしたよね。凄かったです!!

その後、いろいろと内装デザインのお話頂いてて。2008年に鹿児島のビル一棟を全部装飾してくれとかクラブの装飾とかいろいろあったんです。けど兄の太郎が死んじゃってね。出来なくなっちゃって。
*瀬下さんの兄、造形作家の寺田太郎さんは山王Rプロジェクト完成後の2007年12月、不慮の事故により他界されました。

Q:今回のリノベーションについて少しだけお話頂けますか?
A:はい。1年前にここをしましてね。「アトリエてらた」ここの経験を活かしてやろうかと。で、前回とは違って今回は「ヴぁ~~~」ではなく「あっ!!!」みたいな。さりげなく驚かすみたいなね。で今回は先にベース作ってもらってるから。出来たものに細かなテクスチャーとか表情とかを付けていく作業をこれからやっていきますね。やりながら考えていく感じで。

Interview&Photo(アトリエてらた):北嵜剛司
Photo(山王R):松本和生

プロフィール:瀬下黄太
吉野ヶ里「AMP GALLERY & CAFE」、福岡「アトリエてらた」の代表
博多のラトルズ?THE GOGGLESのギター担当
巷で噂の1968年型サイケデリックバンドのStrawberry Chocolate ‘s Surf Club BandのVO & Gも担当
基本PUNK(精神的に)PUNKレコード屋〜音楽事務所〜レコード会社〜洋服屋等職歴沢山

no.38 平面図公開

こんにちは。

現場は最終仕上げに入り、えいや~、おりゃ~、とバタつき
前回の投稿から、あっと言う間の6日、ご無沙汰しております。
あぁもうすぐ終わってしまう、と現場で哀愁を漂わせるリノベ番長森岡です。

さて、今週末の見学会はご存知の通り「3号系3室リノベ」です。
つまり元々が同じ間取りです。
同じ間取りがどのように変化したのか?
今日は平面図を大公開します。

まずは以前リノベして今回偶然にも空いてしまった503号室。
「無垢フローリングと白い壁と心地良い太陽の光」
左がBEFOREの2DK、右がAFTERの1LDK

そして今回リノベした603号室「マジックアワー」のAFTERがこちら。
503とほぼ同じ間取りです。

そしてそして703号室「木立(こだち)」のAFTERがこちら。
元々の間取りとほぼ同じです。

なるべく既存を壊さないので、ほぼ同じなのは当然と言えば当然。
が、一歩中に入ると・・・。

17日の見学会まであとわずか、ご予約がまだの方はお早めにお願いします。


オーナーさんのブログもご覧になってみて下さい、違う視点でリノベを楽しめます。

お部屋に関するお問い合わせはスペースRデザインまで。


リノベ番長・森岡陽介

R100pをフォローしましょう
R100プロジェクトはtwitterを利用しています。